COVID下での獣医不足と今後の見通し


COVID時に獣医さんの予約を取るのは本当に大変でした。飼い主を病院に入れず、駐車場で待っててもらうというような、きちんとした対策が決定されるまで獣医さんもお休みというところもありました。おまけに獣医さんが大不足になったのです。COVID時になぜ突然?

1)獣医さん やVet TechがCOVIDにかかり一緒に働く獣医チーム全体が隔離され働けなくなる。

2)ステイホームでペットのアダプションが増大。私がお世話になっていた大型ペットレスキュー機関が運営するクリニックでも、アダプションされたペットを無料で診察するサービスがあったのですが、それも数週間いっぱいで、キャンセル待ちという状況でした。アダプションされたペット、そして既存のオーナー以外の予約は断ってでもです。

獣医さんがCOVIDにかかると来られなくなるので、すでにあった予約の再アレンジが大変でした。オーナーさんが怒るのも当たり前、でもどうしようもない状況は誰もがわかってました。

3)COVID前から獣医は一番自殺の多い職業の一つと言われていました。それがAVMA (American Veterinary Medical Association)によると2021年秋に重大な心理的心痛を抱える獣医は2019年秋の6.4%から9.7%に増加しているそうです。また同ソースによると2021年のサーベイでは心理的心痛の原因を以下の順に挙げています。

a) 獣医とサポートスタッフのストレスレベル 92%

b) サポートスタッフ不足 91%

c) 獣医学校に行ったことでの負債 88%

d) 獣医の自殺 88%

e) 獣医不足 82%

4)これは友人の獣医さんから聞いた話ですが、獣医学校を出ても、パートでしか働かない女性の獣医さんが実際多いそうです。

当時、獣医界では獣医を雇うため、色々なインセンティブを掲げました。

ある大きな病院チェーンでは、今後2年(だったと覚えているのですが)働くなら獣医学部の費用を全て肩代わりするとか、雇用書類にサインをした時点で2万ドルのボーナスを支給などです。つまり個人の獣医さんや低コストのクリニックなどは、お金だけでは太刀打ちはできませんでした。特別な志を持った獣医さんやサポートスタッフでないと探すのは大変でした。

同じくAVMAの2024年10月のレポートによると、現在の米国獣医学部の卒業人数を考えると、2035年まで大きな獣医不足はないだろうと予測しています。ただ、アメリカでのペット保有増加率は2035年まで年率2%止まり、成長を引っ張っていくのはペットオーナーが獣医を使用する回数を増やしたり、診察時に使う金額を増やすことが必要。でも増加は限られているといっています。

確かに、ほとんどのオーナーは直ちに必要な薬以外はChewyや他のオンラインショップから購入しています。オーナーはオンラインショップで薬を購入、オンラインショップは獣医さんに連絡をして処方箋をEメールで送ってもらいます。獣医さんにとっては利益が全くない、コストだけの仕事です。でも法律で処方箋をリスエストされたら出さなくてはいけないと決まっているのでしょうがないですね。

そんな低成長予想の中、3つの新しい獣医学部が学生の入学を始め、いくつかの既存の獣医学部も秋だけではなく新しく春入学を始めたそうです。そして13の既存の獣医学部がAVMAの行動規範認定の認可を待っているとのことです。詳しくはリンクのレポートを見てください。つまり、ペットの獣医の数はペットの数やペット保有家庭の数より速く成長するということです。

ペットオーナーにとって、これからどうなるのでしょうか。大切なペットのために優秀で、獣医という仕事、動物が好きな獣医さんには、きちんとした仕事に見合う報酬をもらって欲しい一方で治療代などもあまり高くなってほしくないという矛盾した気持ちがあるのも本当です。


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